こんにちはマサです。
今回はThinkEdge SE70・エッジ向け小型PCのレビューをしていきます。
結論からお伝えすると、
NVIDIA Jetson Xavier NX を積むエッジ端末です。映像を現場で解析するための機械で、CPUもGPUもNVIDIA製です。
動作温度は-20〜60℃。当サイトで扱ったThinkEdgeのなかでいちばん広い範囲です。
有線LANが2系統あり、どちらもPoE(802.3af)に対応します。LANケーブル1本で給電できます。
CANバスとデジタル入出力ポートも付きます。産業機械につなぐ前提の装備です。
ThinkEdge SE70の評価

※評価はmasalog運営者の主観です
各項目は1.0〜5.0で評価しています。
| 点数 | 意味 |
| 5.0 | このクラスで最高水準 |
| 4.0 | 十分に満足できる |
| 3.0 | 標準的。価格なりで不足はない |
| 2.0 | 用途によっては足りない |
| 1.0 | おすすめしない |
5項目の内容は以下のとおりです。
| 項目 | 見ているもの |
| 処理性能 | CPU・メモリ・ストレージ。事務作業や制作の快適さ |
| コスパ | 絶対的な価格の安さではなく、同じ性能帯の相場と比べて価格が妥当かどうか |
| 拡張性・端子 | 端子の種類と数、メモリやSSDの増設可否 |
| 設置性 | 本体のサイズと重量、置き場所の自由度 |
| デザイン・質感 | 外観、筐体の素材、仕上げ |
総合点は5項目の平均ではなく、「この製品を人に薦められるか」という視点で別途付けています。
向いている人
- 映像をその場で解析したい方(Jetson Xavier NXとVolta GPUです)
- 屋外や温度変化の大きい場所に置く方(-20〜60℃まで対応します)
- LANケーブル1本で設置したい方(有線2系統ともPoE対応です)
- 産業機械につなぎたい方(CANバスとデジタル入出力があります)
向かない人
- Windowsで使いたい方(Ubuntu Desktop 18.04で出荷されます)
- メモリを増やしたい方(8GBのオンボードで、スロットがありません)
- 外部モニターを2台つなぎたい方(HDMIが1つだけです)
- 一般的なPCの処理性能を期待する方(Armのエッジ向けSoCです)
ThinkEdge SE70のスペック評価
各パーツの性能をレーダーチャートにしました。評価の付け方は下のトグルからご確認いただけます。
各項目は10点満点です。主観で付けるのではなく、当サイトのベンチマーク比較表の数値をもとに算出しています。
| 項目 | 基準にしている数値 | 換算のしかた |
| メモリ | 容量 | 8GB=6.0/16GB=7.5/32GB=9.0/64GB=10.0 |
| ストレージ | 容量と規格 | 256GB=5.0/512GB=7.0/1TB=8.5/2TB=10.0 |
| 拡張性 | 空きスロットと空きベイの数 | 空きなし=5.0を基準に、メモリスロット空き+1.5/M.2空き1つにつき+1.0/PCIeスロット空き1つにつき+1.5/3.5型ベイ空き+1.0 |
| 映像出力 | 同時に出せる画面数 | 1画面=4.0/2画面=6.0/3画面=8.0/4画面=10.0 |
| 設置性 | 本体の重量 | 5kg=10.0/8kg=7.0/10kg=5.0 |
| 耐環境 | 動作温度の幅 | 一般的なPCの5〜35℃(幅30℃)=5.0を基準に、幅が10℃広がるごとに+1.0 |
CPUとグラフィックスは、以下の比較表の数値をそのまま使っています。
仕様書に載っている構成(製品番号 12A7S00E00)で評価したものです。このチャートには「ディスプレイ」「画面サイズ」「バッテリー」の軸がありません。画面の付かないエッジ端末だからです。グラフィックスの軸も外しています。CPU内蔵グラフィックスは比較表に載っていないためです。CPUはモバイル/組み込み向けを積むため、母数はノートPC向け(437件)で見ています。
このチャートにはCPUとグラフィックスの軸がありません。搭載するNVIDIA Carmel ARM v8.2 CPU とNVIDIA Volta GPU が、当サイトの比較表に載っていないためです。PassMarkはArmの組み込み向けSoCをほとんど扱っていません。数値が取れない以上、当サイトの換算はできないので軸から外しています。
代わりに、この機種の性格がいちばん出る「耐環境」の軸を入れました。一般的なPCの動作温度(5〜35℃=幅30℃)を5.0の基準にして、幅が10℃広がるごとに1.0ずつ足しています。
メモリの6.0は8GBによるもの。LPDDR4Xのオンボードで、スロットはありません。上限も8GBです。
ストレージの7.0は512GBによるもの。M.2のPCIe NVMe SSDで、これとは別に16GBのeMMCがオンボードで載ります。
拡張性の5.0は空きスロットが1つもないことによるもの。M.2は2230と2280が1つずつで、どちらも埋まっています。
映像出力の4.0はHDMIが1つだけによるものです。
設置性の10.0は約1.86kgによるもの。当サイトの換算(5kg=10.0)の上限に張り付きます。
耐環境の10.0は動作温度-20〜60℃(幅80℃)によるものです。
エッジ端末のスペック目安
どのくらいのスペックが必要かは、使い方によって変わります。目安は以下のとおりです。
| CPU | メモリ | ストレージ | |
| 表示とデータ送信が中心(サイネージ・ゲートウェイ) | Intel Atom/Celeron 相当 | 8GB〜16GB | 256GB以上 |
| POSや受付など、業務アプリを動かす | Intel Core i5/Core 5 相当 | 16GB | 256GB以上 |
| 複数のカメラ映像やセンサーをまとめる | Intel Core i7/Core 7 相当 | 32GB | 512GB以上 |
| エッジでAI推論まで走らせる | GPU/NPU搭載のSoC | 32GB以上 | 512GB以上 |
この機種は表のいちばん下の行が目安ですが、性格が違います。汎用のPCとしての処理性能ではなく、映像をその場で解析するためのGPUを積んだ端末です。
ThinkEdge SE70のスペック
主なスペックは以下のとおりです。購入時に選択できる項目には「※選択可能」と記載しています。
| 項目 | 内容 |
| 筐体 | 小型エッジデバイス ※12AFS00000 は AWS Panorama 認定モデル |
| 製品番号 | 12A7S00E00/12AFS00000(AWS Panorama 認定モデル) |
| OS | Ubuntu Desktop 18.04 ※JetPack v4.5.1 SDK/AWS Panorama 版は JetPack v4.4 SDK |
| プロセッサー | NVIDIA Carmel ARM v8.2 CPU(6コア) キャッシュ 6MB(L2)+4MB(L3)/NVIDIA Jetson Xavier NX に統合 |
| グラフィックス | NVIDIA Volta GPU(Jetson Xavier NX に統合) HDMI 3840×2160ドット(1677万色)・アナログ出力なし |
| メモリ | 8GB LPDDR4X(オンボード)/最大8GB・スロット数0 ※1枚オンボードで装着されており、交換・増設はできません |
| ストレージ | 16GB eMMC(オンボード)+512GB SSD(PCIe NVMe/M.2) |
| メディアカードリーダー | microSD メディアカードリーダー ※AWS Panorama 認定モデルは物理搭載のみで使用不可 |
| 拡張スロット | M.2 2230:1(空き0)/M.2 2280:1(空き0) 拡張ベイ:なし |
| セキュリティ | パワーオンパスワード、スーパーバイザーパスワード、セキュリティキーホール |
| 無線 | インテル Wireless-AC 9260(a/b/g/n/ac)/Bluetooth v5.1 ※AWS Panorama 認定モデルは無線なし |
| 有線LAN | 10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T(Wake on LAN対応)オンボード×2 いずれもPoE(802.3af)対応 |
| オーディオ | Realtek ALC5640(オンボード)/スピーカー・マイクロホンなし |
| 本体寸法 | 約 191 × 128 × 65mm(幅×奥行×高さ) |
| 重量 | 約1.86kg(最大構成時・梱包時 約3.38kg) |
| 電源 | ACアダプター 60W(効率89%)/AC 100-240V(50/60Hz) 最大消費電力 65W |
| 使用環境 | 温度 -20〜60℃/湿度 0〜95%(結露なきこと) 保存環境:温度 -40〜60℃/湿度 10〜90% |
| 付属品 | 無線LAN用アンテナ×2、CANバスコネクター、デジタル入出力コネクター、VESAマウント用ネジ×4、電源ケーブルホルダー、ポートキャップ類 |
| 保証 | 1年間・引き取り修理 保守活動終了予定日:2030年7月31日 |
CPUもGPUもNVIDIA製
| 項目 | 内容 |
| プロセッサー | NVIDIA Carmel ARM v8.2 CPU(6コア) |
| GPU | NVIDIA Volta GPU |
| SoC | NVIDIA Jetson Xavier NX |
| キャッシュ | 6MB(L2)+4MB(L3) |
| メモリ | 8GB LPDDR4X(オンボード・増設不可) |
| PassMark | CPU・GPUとも掲載なし |
この機種はNVIDIA Jetson Xavier NX というモジュールを積んでいます。CPUはNVIDIA Carmel ARM v8.2(6コア)、GPUはNVIDIA Volta。どちらもSoCに統合されています。
一般的なPCのようにIntelやAMDのCPUを積むのではなく、映像の推論に振った構成です。カメラの映像をその場で解析して、結果だけをクラウドに送る、という使い方が前提になります。
このSoCはPassMarkのCPU比較表にもGPU比較表にも載っていません。ArmのSoCはPassMarkがほとんど扱っていないためです。当サイトの数値で他機種と並べることはできないので、レーダーチャートからCPUとグラフィックスの軸を外しています。
メモリは8GBのLPDDR4Xでオンボード。仕様書にも「1枚オンボードで装着しており、交換・増設することはできません」とあります。上限も8GBです。
ストレージは512GBのM.2 SSDに加えて、16GBのeMMCがオンボードで載ります。OSの起動用とデータ用を分けられる構成です。
OSはUbuntu Desktop 18.04で、JetPack v4.5.1 SDKが入ります。Windowsは選べません。
-20〜60℃まで動く

当サイトで扱ったThinkEdgeと並べると、使用環境の条件が際立ちます。
| 項目 | ThinkEdge SE70(本機) | ThinkEdge SE50 | ThinkEdge SE30 | ThinkEdge SE10 |
| 使用温度 | -20〜60℃ | 0〜50℃ | 0〜50℃ | 0〜50℃ |
| 使用湿度 | 0〜95% | 20〜80% | 0〜95% | 0〜95% |
| 保存温度 | -40〜60℃ | -40〜60℃ | -40〜60℃ | -40〜85℃ |
| 冷却 | ファンレス | ファンレス | ファンレス | ファンレス |
| 重量 | 約1.86kg | 約3.21kg | 約1kg | 約1.5kg |
使用温度は-20〜60℃。氷点下から真夏の密閉された機械室まで対応します。当サイトで扱ったThinkEdgeのほかの機種は0〜50℃なので、上下に10℃ずつ広がっています。
湿度も0〜95%まで。保存環境は-40〜60℃です。
本体の上面と側面が放熱フィンになっていて、ファンを使いません。埃を吸い込まず、動作音もありません。
最大消費電力は65Wで、ACアダプターは60W(効率89%)です。
本体寸法は約191×128×65mm、重量は約1.86kg。付属品にVESAマウント用のネジが4本入っているので、壁や機械の脇に固定できます。
PoE対応の有線LANが2系統

端子の構成は以下のとおりです。
| 端子 | 数 | 位置 |
| USB-A(USB 3.2 Gen1) | 4 | 前面 |
| USB 2.0(Micro-B) | 1 | 前面 |
| HDMI | 1 | 前面 |
| microSD カードリーダー | 1 | 前面 |
| マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャック | 1 | 前面 |
| CANバス | 1 | 前面 |
| デジタル入力ポート | 4 | 前面 |
| デジタル出力ポート | 4 | 前面 |
| シリアルポート | 2 | 背面 |
| 有線LAN(RJ-45・PoE 802.3af対応) | 2 | 背面 |
有線LANが2系統あり、どちらもPoE(802.3af)に対応します。LANケーブル1本でデータと電源の両方をまかなえるので、電源コンセントのない場所にも置けます。
シリアルポートが2つ(背面)。前面にはCANバスが1つ、デジタル入力ポートが4つ、デジタル出力ポートが4つあります。産業機械やセンサーに直接つなぐための端子です。当サイトで扱ったThinkEdgeでCANバスを持つのはこの機種だけです。
USBは前面にType-Aが4つ(USB 3.2 Gen1)とMicro-Bが1つ(USB 2.0)。microSDカードリーダーもあります。
映像はHDMIが1つだけで、3840×2160ドットまで。モニターを何台もつなぐ使い方は想定されていません。
無線はインテル Wireless-AC 9260(Wi-Fi 5)とBluetooth 5.1。発表が2022年6月の製品なので、ここは世代が古くなっています。
AWS Panorama 認定モデルという選択肢

仕様書には2つの製品番号が載っています。12A7S00E00 が通常モデル、12AFS00000 が AWS Panorama 認定モデルです。
AWS Panorama は、カメラの映像をエッジで解析するためのAWSのサービスです。認定モデルはそのために構成が絞られていて、仕様書では多くの端子が「物理搭載、使用不可」と書かれています。
具体的には、前面のUSB(Type-A 4つとMicro-B)、シリアルポート2つ、コンボジャック、CANバス、デジタル入出力ポート、microSDカードリーダーが使えません。無線LANとBluetoothも「なし」です。
M.2 2230スロットも「空1(物理搭載、増設不可)」となっています。
つまり、AWS Panorama の構成で使うなら認定モデル、自前で組むなら通常モデル、という分かれ方です。価格は認定モデルのほうが下です。
付属品も違います。通常モデルには無線LANアンテナ2本とCANバスコネクター、デジタル入出力コネクターが付きますが、認定モデルはVESAマウント用ネジとダストシールド、ポートキャップ類だけです。
保証と保守

保証は1年間。国内は引き取り修理です。オンサイト修理ではないので、現場から外して送る必要があります。
同じThinkEdgeでも、SE50は3年間、SE30とSE10は1年間です。
保守活動終了予定日は2030年7月31日とされています。2022年6月の発表から8年ほどの期間です。設備に組み込んで長く使う機械なので、ここは確認しておく項目になります。
セキュリティはパワーオンパスワード、スーパーバイザーパスワード、セキュリティキーホール。TPMの記載はありません。
オーディオはRealtek ALC5640がオンボードで載りますが、スピーカーとマイクロホンはありません。
キーボードとマウスも付属しません。
どんな場所に向くか

この機種が合うのは、カメラの映像をその場で処理する現場です。
工場のラインで製品の外観を検査する、店舗で人の流れを数える、駐車場でナンバーを読む。こうした処理をクラウドに送らずに済ませられます。映像をそのまま外に出さないので、プライバシーの扱いも楽になります。
-20〜60℃という範囲とファンレス構造、PoE対応があわさって、置ける場所が広がります。屋外の機器箱や、空調のない倉庫でも動きます。
逆に、Windowsのアプリを動かしたい、メモリを増やしたい、モニターを複数つなぎたい、という用途には向きません。
汎用の処理が目的なら、同じThinkEdgeのSE30(Core i5-1145G7E・Windows出荷・約1kg)やSE50(Core i7-8665UE・有線LAN 6系統)のほうが合います。
映像解析が目的でないなら、この機種を選ぶ理由はありません。
レビューは以上です。
詳細について気になる方はレノボ公式サイトからご確認お願いします。
まとめ

ThinkEdge SE70のレビューをしました。
この機種の特徴は大きく分けて3つです。
- NVIDIA Jetson Xavier NX を積む映像解析向けの端末
- 動作温度-20〜60℃。ThinkEdgeでいちばん広い
- 有線LAN 2系統がPoE対応。CANバスとデジタル入出力も付く
カメラの映像を現場で解析するための端末です。NVIDIA Jetson Xavier NX を積み、動作温度は-20〜60℃。有線LANは2系統ともPoE対応で、CANバスとデジタル入出力ポートも付きます。
弱いのは汎用性です。OSはUbuntu Desktop 18.04、メモリは8GBのオンボードで増設不可、HDMIは1つだけ。CPUとGPUはPassMarkに載っていないので、数値での比較もできません。
汎用の処理が目的なら、同じThinkEdgeのSE30(Core i5-1145G7E・約1kg・Windows出荷)のほうが合います。
今回の記事が少しでもエッジ端末選びの参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。



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